• システム開発に関わる内容をざっくりと書いていく

C# async/awaitの必要性(処理観点)

1. 非同期処理が多いバックエンドでは基本的に必要

C# のバックエンド開発では以下のような非同期処理が一般的:

  • データベースクエリの実行
    Entity Framework Core や Dapper などでは非同期メソッド(例: ToListAsync, ExecuteAsync)が推奨。
  • 外部APIやHTTPリクエストの処理
    HttpClient でのリクエスト(例: GetAsync, PostAsync)。
  • ファイルやストレージの操作
    非同期のファイル読み書き(例: FileStream.ReadAsync, FileStream.WriteAsync)。

これらを同期処理として実行すると、スレッドがブロックされ、バックエンドのスケーラビリティが低下。一方、async/await を使うことでスレッドの効率的な利用が可能。


2. スレッドの効率性向上

C# の非同期プログラミングの目的は、I/O操作や待ち時間が発生する処理の間にスレッドを解放し、他のタスクに使用できるようにすること。同期メソッドを使用すると、その間スレッドがブロックされ、バックエンドアプリケーションのパフォーマンスが低下。

例えば、以下のような同期処理はスレッドを無駄に占有:

csharp
public void ProcessData()
{
var data = File.ReadAllText("data.txt");
Console.WriteLine(data);
}

これを非同期にすると、待機中のスレッドが他の処理に利用できる:

csharp
public async Task ProcessDataAsync()
{
var data = await File.ReadAllTextAsync("data.txt");
Console.WriteLine(data);
}

3. エラーハンドリングが容易

async/await を使用すると、同期処理と同じように try/catch を使ったエラーハンドリングが簡単に実装できる。

csharp
public async Task FetchDataAsync()
{
try
{
var response = await httpClient.GetAsync("https://api.example.com/data");
response.EnsureSuccessStatusCode();
var data = await response.Content.ReadAsStringAsync();
Console.WriteLine(data);
}
catch (Exception ex)
{
Console.WriteLine($"Error: {ex.Message}");
}
}

4. コードの可読性と保守性

非同期処理を Task ベースの .ContinueWith.Result で記述すると、コードが複雑になる。

例えば、以下のコードは可読性が低いです:

csharp
Task.Run(() =>
{
var data = httpClient.GetAsync("https://api.example.com/data").Result;
Console.WriteLine(data);
});

これを async/await で記述すれば、同期処理のような見た目で書けるため、読みやすい。


5. 特にASP.NET Coreでは必須に近い

ASP.NET Core アプリケーションでは、リクエスト処理を効率的に行うために非同期メソッドの使用が推奨される。例えば、以下のように async を利用することでスケーラビリティを保ちながらリクエストを処理できる。

csharp
public async Task<IActionResult> GetData()
{
var data = await databaseService.GetDataAsync();
return Ok(data);
}

非同期メソッドを使わず同期メソッドで同じ処理を実行すると、スレッドプールが無駄に消費され、他のリクエストを処理できなくなる可能性がある。


6. すべての場面で使う必要はない

ただし、以下のような場合は非同期処理を無理に使う必要はない:

  • 処理が非常に軽量で、スレッドブロックが発生しない。
  • 既に完了しているデータを単純に返す処理。

例えば:

csharp
public int Add(int x, int y)
{
return x + y;
}

このような場面では非同期にする意味がない。


まとめ

C# のバックエンド開発において、async/await は以下の理由から非常に重要:

  1. 非同期処理を扱う場面が多い(データベース、HTTPリクエストなど)。
  2. スレッドの効率的な利用によりスケーラビリティを向上。
  3. コードの可読性やエラーハンドリングが向上。
  4. ASP.NET Core では非同期メソッドが基本的な設計方針。

ほとんどの場合、非同期処理を利用する方が適切で、バックエンド実装でも積極的に async/await を活用しよう。