基本設計の概要
基本設計は、システム開発における要件定義の次の重要なフェーズで、システムの構造や挙動を定義する段階。ここで作成された基本設計書が、詳細設計や実装のための指針となる。基本設計では、ユーザーインターフェース、システム間の連携、処理フロー、データの流れ、エラー処理などを含めてシステムの設計を行う。
基本設計書の主な項目
- 画面イメージ
システムの画面レイアウトやユーザーインターフェース(UI)の大まかな構造を定義。ユーザーがどのようにシステムを操作するかを可視化し、画面遷移図やワイヤーフレームを使って設計を行う。
- 例: 「ユーザーはログイン画面でIDとパスワードを入力し、メインメニューに遷移する」といった画面フロー。
- 表示項目
各画面における表示内容を整理し、ユーザーが閲覧できる情報や入力項目を明確にする。項目のラベル、配置、フォントのサイズなども設計に含まれる。
- 例: 「顧客管理画面には、顧客ID、氏名、住所、連絡先、登録日が表示される」。
- 処理内容
ユーザー操作に基づいてシステムが行う処理を定義。データベースとの連携、外部APIの呼び出し、ファイル出力など、処理の流れをフロー図を使って示す。
- 例: 「検索ボタンが押された際に、顧客データをデータベースから取得し、画面に表示する」。
- バリデーション
ユーザー入力に対して行うチェックルールを記載。入力形式や必須項目、文字数の制限など、システムが受け入れるデータの範囲を定義する。
- 例: 「メールアドレスの入力欄には、@を含む形式でなければエラーを表示する」。
- エラー時の処理
システムがエラーを検知した場合にどう処理するかを記載。エラーメッセージの表示、ログの記録、システムの復旧方法を含む。
- 例: 「ユーザー認証に失敗した場合は、’ログインに失敗しました’と表示し、エラー内容をログに残す」。
- 非機能要件
システムのパフォーマンス、セキュリティ、可用性など、機能以外の品質に関する要件を定義。システムの運用環境や負荷に耐える能力などを明示する。
- 例: 「システムは1秒間に500リクエストを処理できることが要求される」。
- ログ出力
システムの操作やエラーをログに記録する仕組みを定義。ログの出力内容や保存先、保持期間なども設定する。
- 例: 「ユーザーのログイン操作は、日時、ユーザーID、操作結果をログに記録する」。
その他の観点
- セキュリティ要件: ユーザー認証、アクセス制御、データ暗号化など、セキュリティ面での対策を基本設計で定義する。
- パフォーマンス要件: システムが処理すべき同時アクセス数やレスポンスタイムの基準を設定する。
- 運用性: システムが運用される際の手順や体制を設計に盛り込み、運用中のトラブル対応やメンテナンス方法を記載する。