テスト結果報告書の構成と重要ポイント
テスト結果報告書は、システムやソフトウェアが要求される要件を満たしているかを確認し、その結果を顧客やプロジェクト関係者に報告するための重要な資料。ここでは、テストの進捗状況や結果、不具合の内容、対策を整理し、プロジェクト全体の品質を確認するために必要な情報をまとめていく。
テスト概要では、実施した各テスト工程の目的や範囲、内容を簡潔に記述する。単体テスト、結合テスト、システムテストといった各工程で何を確認したのかをまとめ、各テストでの主要な結果を報告する。
【単体テスト概要】
- 目的: 各モジュールの独立した機能が仕様通りに動作するか確認する。
- 実施期間: 2024年10月10日~2024年10月15日
- テスト対象: モジュールA、モジュールB、モジュールC
- 結果: 全体で98%のテストケースがパス。
【結合テスト概要】
- 目的: モジュール間の連携機能を確認し、正しく動作するか評価する。
- 実施期間: 2024年10月16日~2024年10月20日
- テスト対象: モジュールAとBの連携機能、外部システムとのデータ連携
- 結果: 95%のテストケースがパス。不具合が1件発生。
テストケース数と不具合数では、テストの範囲や結果を定量的に示す。各テスト工程で実施したテストケースの総数と、そのうち何件の不具合が発見されたか、不具合発生率(不具合数 ÷ テストケース数)も記載することで、進捗状況と品質を可視化する。
【テストケース数と不具合数】
- 単体テスト:
- テストケース数: 120件
- 不具合数: 5件
- 不具合発生率: 4.2%
- 結合テスト:
- テストケース数: 80件
- 不具合数: 3件
- 不具合発生率: 3.8%
- システムテスト:
- テストケース数: 150件
- 不具合数: 2件
- 不具合発生率: 1.3%
不具合の改修状況では、発見された不具合がどの程度修正されたかを示す。全て修正済みか、修正中か、どの不具合に優先度をつけて対応しているかも記載すると状況がわかりやすくなる。
【不具合の改修状況】
- 単体テスト:
- 不具合数: 5件(全て修正済み)
- 結合テスト:
- 不具合数: 3件(2件修正済み、1件修正中)
- システムテスト:
- 不具合数: 2件(全て修正済み)
ポイント: 不具合の重要度や修正の優先順位を示し、進捗を明確にする。
不具合の原因分析では、発生した不具合の根本原因を明らかにし、それに基づく傾向やパターンを整理する。同様の不具合が再発しないようにするための対策も記載する。特定のモジュールで問題が多発している場合は、その領域に対する対策を強化する。
【不具合の原因と傾向分析】
- 原因1: データベース接続処理のタイムアウト設定不足によるエラー
- 対策: タイムアウト設定の適切な値の設定と、リトライ処理の追加
- 原因2: UIにおけるエラーハンドリングの不足
- 対策: 入力データのバリデーション強化とエラーメッセージ表示の追加
【不具合の傾向分析】
- データベース関連の不具合が全体の30%を占める。
- ユーザー入力に関する不具合が25%で多発しているため、バリデーション強化が必要。
テスト結果報告書の最後に、システムが要件を満たしているかを顧客に説明する部分を記載。システムが要求通りに動作していることを証明し、今後の対応についても簡潔にまとめる。未解決の不具合がある場合は、今後のスケジュールや解決方針も明示する。
【顧客への説明】
全体のテスト結果から、本システムは主要な要件を満たしていることが確認された。不具合は軽微なもので、すでに修正済みか、修正の見込みが立っている。重要な要件に関しては全てのテストをクリアしており、システムはリリース準備が整っている。
今後の作業として、追加のテストを行い、システムが完全に安定していることを最終確認する予定。
テスト結果報告書は、システムの品質状況を顧客や関係者に示す重要な資料。各テスト工程の概要、テストケース数と不具合数、不具合の改修状況、原因と対策を整理し、顧客に対してシステムが要件を満たしていることを証明する。また、不具合の傾向を分析し、再発防止策を提案することで、今後の開発に役立てる。