• システム開発に関わる内容をざっくりと書いていく

機能観点と非機能観点について

ソフトウェア開発において、要件定義はプロジェクトの成功に直結する重要なプロセス。その中でも、機能要件非機能要件の区別は、開発チームがシステムの仕様を正確に理解し、目的に合ったソフトウェアを作成するために欠かせない。機能観点と非機能観点の違い、それらをどのように線引きするかについて解説。

1. 機能観点とは?

機能観点は、システムが「何をするか」に焦点を当てたもの。これは、ユーザーがシステムを操作することで直接利用できる機能や、システムが提供するサービスに関する要件を指す。

代表的な機能要件の例:

  • ユーザーがログインできる
  • 商品を検索し、購入できる
  • 入力されたデータをデータベースに保存する
  • フォームの入力バリデーションを行う

機能要件は、具体的な動作やシステムの結果に関連し、ユーザーが直接利用する「システムの機能」を定義する。


2. 非機能観点とは?

非機能観点は、システムが「どのように動作するか」に焦点を当てたもの。これは、システムの動作に関するパフォーマンス、信頼性、拡張性、セキュリティなど、システムの品質や環境に関する要件を指す。

代表的な非機能要件の例:

  • システムの応答時間は1秒以内である
  • 1,000人の同時接続に対応できる
  • データは24時間以内にバックアップされる
  • システムの稼働率は99.99%を維持する
  • 機密データは暗号化され、ユーザーに表示されない

非機能要件は、ユーザーが直接利用する機能ではなく、システム全体の「使いやすさ」や「品質」を定義する。


3. 機能観点と非機能観点の線引き

機能観点と非機能観点は密接に関連している場合が多く、明確に線引きするのが難しいこともある。しかし、基本的な区別は以下のように考えるとわかりやすい。

機能観点:

  • システムの動作そのものに関するもの
  • ユーザーの操作や具体的な業務フローに基づく機能
  • 例: 「ユーザーが検索できる」「データを保存する」

非機能観点:

  • システムの動作に対する条件や制約に関するもの
  • システムのパフォーマンスや安全性、信頼性、メンテナンス性など
  • 例: 「検索結果は1秒以内に表示される」「データは毎日バックアップされる」

4. 線引きが曖昧な場合の対処法

機能観点と非機能観点の線引きが難しい場合は、以下の基準を活用することで、どちらに分類するかを明確にできる。

① ユーザー視点での利用かどうか

  • ユーザーがシステムを利用する際に目に見える部分であれば機能観点。
  • 背景で動作しているが、ユーザーが直接認識しない部分は非機能観点。

② パフォーマンスや信頼性に関するか

  • 実装される具体的な動作であれば機能観点。
  • その動作がどれだけ高速か、安全かといった「品質」に関する要件は非機能観点。

③ 業務フローに対する影響か、システムの運用に関するか

  • 業務フローに直接影響する内容は機能観点。
  • システムの運用や管理に関する内容は非機能観点。

5. 機能観点と非機能観点のバランス

プロジェクトを成功させるためには、機能観点と非機能観点のバランスをうまく取ることが重要。機能観点に過剰にフォーカスすると、ユーザーが利用しにくいシステムになったり、パフォーマンスが低下するリスクがある。一方で、非機能観点を重視しすぎると、実際に必要な機能が不足する可能性がある。

機能と非機能のバランスを取るポイント:

  • 機能要件がシステム全体の目的を達成しているか確認する。
  • 非機能要件がユーザーエクスペリエンスや運用効率にどれだけ寄与しているかを検討する。
  • 必要に応じて機能要件と非機能要件の優先順位を決め、プロジェクトの進行に応じて調整する。

まとめ

機能観点と非機能観点の線引きは、システム開発において重要なステップだ。機能観点は「何をするか」、非機能観点は「どのようにするか」に関わるものであり、それぞれの要件がしっかりと定義されていることが、システムの品質や成功に直結する。この2つの観点を正しく区別し、バランスを取りながら設計・開発を進めることで、ユーザーの満足度を高め、システムのパフォーマンスを向上させることができる。